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工房の冬は材料作りで懸命です。広葉樹の栗、欅、中でも黒柿は「伐り時」が大切で昔からお彼岸過ぎてから伐れといわれます。樹木が活動し水が多量にあがっている春から夏に伐ったものは虫がついたり乾燥の際に割れたり、動いたりで具合が悪いからです。
別誂えの巨大な帯のこが半年ぶりの仕事に目を覚まします。うなるような音を聞くと材料作りの季節を実感します。外仕事の多いこの季節はきつい労働の季節でもあります。来年再来年さらにその先のために巨大な帯のこがぐるぐる回り、例年、工房総出の板の桟積みは小雪の散らつく頃になります。
木工作業所は様々な品種をに取り組んでいます。小さな菓子切の銀線の象眼をする者から2.5メートルの堂々とした欅のテーブルを作る者、黒柿の盆を仕上げる者、靴べらのスタンドを磨く者、箱を作る者など様々な仕事を一人一人が集中して作業しています。お客様から賜った仕事を大切にしようという気持ち、「自然」から与えられた素材に感謝する気持ち、そしてなによりチームワークが木工の仕事場の自慢です。
拭漆の作業は決してスマートではありません。黒く作業台に付く漆の固まり、湿気を必要な漆の乾燥工程のためそこはいつもじめじめしています。拭漆を担当している職人は今年から息子さんが手伝ってくれるようになったと心底うれしそうです。
完成した品物をお客様にお渡したり、ご要望を承ったりする販売のスタッフはすべて女性です。若いスタッフのパワーと企画力が制作の牽引車です。彼女たちはいつも輝いています。
私は魅力的な素材と熱心な制作、販売のスタッフに支えられながら木工芸の新しい領域を模索してゆけたらと思います。そして、少しでも生活のなかで生かしていただけるものがご提案できればと念じております。何卒よろしくお願い申し上げます。
岡 英司
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